ConciergeBotの導入事例:ホテル業界に特化したQ&Aチャットボットの構築

過去10年間、文明から離れた暮らしを送っていない限り、チャットボットを使用したことがある、また、チャットボットと対話したことがある方は多いでしょう。 チャットボットは会話に対応することが可能で、音声またはテキストを使用して人々を支援します。 しかし、ホテルをはじめとする様々な分野のビジネスをサポートする場合、チャットボットの性能は限定的とも言えます。 これに対処するために、Megagon Labsではホスピタリティ業界向けのQ&Aチャットボット、ConciergeBotを構築しました。 

インテント(意図)に関する課題

「Hey Siri、新しいメッセージを読んで。」

「Alexa、今日の天気はどう?」

「OK Google、ダンスミュージックを流して!」

上記のようなチャットボットは、インテント分類(Intent Classification)と呼ばれるプロセスによってユーザーを支援します。その名前の通り、インテント(意図)を分類することによって、チャットボットはユーザの発言内容を分析し、その発話の意図を理解することを可能にします。

ほとんどのチャットボットには、あらかじめ定義された一連のクラスがあります(たとえば、音楽の再生、天気の確認など)。近年の自然言語処理(NLP)、事前学習済みの言語モデルや強化学習などの機械学習の発展により、チャットボットは入力テキストをクラスに分類できるようになりました。

しかし、各分野のビジネスをサポートするチャットボットを設計する場合は、特有の技術的な課題が生じます。ホテルを例に挙げると、ホテルや施設ごとに設備やサービスは異なっているため、クエリの対象範囲は大幅に広がります。具体的な例を示します。

無料のワインは付いていますか?

ボーリング場は毎晩営業していますか?

今夜の星空観測イベントはまだ行われていますか?

これら少数の質問からだけでも、あらゆる可能性を網羅した事前定義済みのインテントを一式準備することは明らかに不可能だと分かります。理論的には新しい質問に答えるための新しいインテントを定義することはできます。しかし、チャットボットを使用したい其々のホテルで、すべてゼロから構築する必要があります。加えて、このプロセスは終わりがありません。簡単に言えば、都合良く拡張できるものではないのです。

ConciergeBotの紹介

Megagon Labsでは、ゲストから寄せられる無数の質問に回答しなければならないホテルスタッフを支援するため、ConciergeBotを開発しました。ConciergeBotは、次のような一般的な質問に自動的に回答することで、スタッフの作業負荷を軽減します。

チェックインは何時ですか?

今夜プールは開いていますか?

駐車場は無料ですか?

ConciergeBotは、他のチャットボットと同様に、関連情報を提供するためにゲストのインテント(意図)を分類する必要があります。この実現にあたり、Megagon Labsは前述の分類技術を強力な武器として使う予定でした。しかし、先ほど記載したとおり、事前に定義したインテントの組み合わせには限界があります。

具体的には、事前定義されたインテントの組み合わせは、コンシェルジュが受ける問い合わせの約80%を網羅することができます。残りの20%は、主に通常各ホテルが提供する独自の設備とサービスについてです。

ConciergeBotはどのようにしてホテルに対する固有クエリを処理するか

この問題を解決するために、Megagon LabsはConciergeBotを構築しましたが、それは事前定義されたインテントの組み合わせがないことを前提としています。代わりに、対象ホテルについて入手できる情報の一部が、間接的なインテントを定義します(情報が欲しいと意図していると仮定します)。

これらのインテントはホテルによって異なります。また、時間の経過とともに変化する可能性があります。ConciergeBotは、これらの変化に強いだけでなく、過去に遭遇したことがないゲストの意図にも対処することができます。この実現にあたり、ConciergeBotは2つの重要な点を念頭に置いて設計されました。

まず、単純なフレーズのマッチング技術を利用することで、相当数の質問に答えやすくなります。例えば、ゲストが「星空観測」について質問し、このトピックに関する情報が1つしかない場合は、それが唯一の答えでなければなりません。

最先端のNLP技術は、2つの質問が同じインテントの言い換えであるかどうかを識別する能力に非常に優れています。たとえば事前学習済みの言語モデルは、「今夜の初心者向けの天文イベントに参加できますか?」という質問が、「無料のワインは付いていますか?」よりも「今夜、星空観測イベントを開催していますか?」とより類似していることを簡単に検出できます。

一言で言えば、ConciergeBotはこれらの原則に基づいて機能します。

いかがでしたか? ConciergeBot Case Study: Building an Industrial-Strength Q&A Chatbot for Hotels のサマリーを日本語でお届けしました。ConciergeBotのコンポーネントや性能結果については、Megagon Labs 英語ブログでお楽しみください!

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(翻訳:Megagon Labs Tokyo

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